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【自閉症・情緒障害特別支援学級】自立活動に関するアセスメントツール【現場の先生の力作】

こちらの記事は日本特殊教育学会第60回大会で発表された「自閉症・情緒障害特別支援学級在籍児童の自立活動に関するアセスメントツールの開発」をもとに作成いたしました。

1年かけて作成!魂のこもったツール

特別支援学級担任の経験と、明確な課題意識をもって大学で学ばれた先生が作成されたツールです。

学校の先生に時間があると、こんなに熱心に研究されるのか!!!!

と、大変感動いたしました!
いつもたくさんの本や資料を持って、イキイキと楽しそうに研究されている先生でした✨

1年間の貴重な時間を使って作成された、魂のこもったツールです💡

アセスメントツールを作成した背景

特別支援学級の先生方に求められる専門性として、自立活動の指導があります。

障害のある子どもたちにとって自立活動は,日常生活や学習場面で生じる様々な困難を改善・克服するための学習です。生涯にわたって主体的に困難を改善・克服するための基礎となる学習ですから、とても重要な機会です。

自立活動の内容は6区分27項目あり、これらを関連付けて指導することが学習指導要領には示されています。

学習スキルや生活スキルを具体的に教えるのではダメなのですか?

ダメではありません💡効果的で、子どもが成果を実感でき、将来にも役立つ活動にするには、アプローチやプロセスを組み立てる「考え方」がとても重要です。その時に6区分27項目の視点が役立ちます✨

正直「6区分27項目」の内容もよく理解できていないし、「6区分27項目を関連付ける」を身近に教えてくれたり、相談できたりする人がいなくて困っています。特別支援学級の担任は孤独を感じることがあります。授業づくりをサポートしてくれる何かがあればと思います💦

そこで,特別支援学級担当の経験が少ない先生でも自立活動の指導計画・授業ができるように,児童のソーシャルスキルの課題と自立活動6区分27項目を関連づけた参考情報を示してくれるツールを作成することを考えました。

このような、現場を支えている先生方をサポートしたいという思いで、現場の先生が以下の目的を持ったツールを作成されました。

  1. アセスメントの視点を共有する(チェック項目)
  2. 得られた情報を効率的に処理する(エクセルツールによる集計)
  3. 授業構成の見通しを持ちやすくする(授業構成へ接続)

【開発者向け】ツール作成のプロセス

特別支援学校学習指導要領・学習指導要領解説自立活動編(文部科学省,2018)の「自立活動の内容」の6区分27項目毎の「②具体的指導内容例と留意点」及び「③他の項目との関連性」から,自閉症・情緒障害特別支援学級在籍児童に多く見られる【自閉症】【ADHD】【LD】【かん黙】【言語障害】の記述を抽出しました。

次に,各障害に関する「②具体的指導内容例と留意点」から対応策を抽出し,各項目の自立活動の指導と関連のあるスキルを整理しました。

日常生活や学校生活に役立つソーシャルスキルは,発達障害児への指導・支援を目的とした書籍を参考に、75項目の具体的なソーシャルスキルを選定しました。
※教えたいことがたくさんあって、実際には75項目以上あったのですが、悩みながら75まで絞りました💦

75項目のソーシャルスキルと自立活動6区分27項目の関連付けを行うため,本吉ら(2021)を参考に,関連度を1(関連がある),0(関連がない)で示し,表計算ソフト(Microsoft Excel)上でマトリクスを作成し,アセスメントツールを構築しました。

このアセスメントツールに入力すると自立活動6区分27項目との関連度をヒートマップとして表示し,授業計画を行うときの直観的なヒントとなるようにしました。

項目のもとは学習指導要領や専門家の視点なんですね💡
作り方について詳しく知りたい方は、ツールを開いて説明することもできます。お問い合わせください。

アセスメントツールの項目

75個のスキル項目を選定し,スキルの内容から「A生活面」「B情緒面」「C行動面」「D関係づくり」「E集団活動」「F意思表示・伝達」の6つのグループと17の下位カテゴリーに分類しました。

A 生活面

【生活習慣】
・早寝・早起きができる
・食べ物の好き嫌いを減らすことができる

【衛生・清潔】
・衣服の調節を行うことができる
・身だしなみを整えることができる

B 情緒面

【感情コントロール】
・すぐに泣かずに対応できる
・親から離れることができる
・がまんすることができる
・暴言・暴力を抑えることができる
・怒りや抑うつに対処することができる
・物事へのこだわりを抑えることができる

【対応・臨機応変】
・予定外のことに対応できる
・場面の切り替えができる
・上手に気持ちを切り替えることができる
・場面に馴染むことができる
・新しい思考を取り入れることができる

【自己理解・自己肯定】
・自分の気持ちについて考えることができる
・自分の意見をもつことができる
・自分の課題について自己理解ができる
・自尊心を高めることができる
・自分のよさや得意なことに気づくことができる

C 行動面

【生活行動】
・体の一部をゆする行動を抑えることができる
・騒いだり奇声を発したりせず過ごすことができる
・何か持たなくても安心して過ごすことができる
・同じことの繰り返しを抑えることができる
・忘れ物をしないようにすることができる
・前後左右を理解することができる

【学習行動】
・授業中に歩き回らず過ごすことができる
・姿勢を保持して着席することができる
・集まる・並ぶ・移動することができる
・指示を受けて待つことができる
・宿題に取り組むことができる
・活動や学習に集中することができる
・音に敏感なことに対処することができる

【相手を見る】
・相手の目を見ることができる
・指示されたものを見ることができる
・動作の模倣ができる

D 関係づくり

【話す・発表】
・学校で話すことができる
・人前で話すことができる
・自分の意見を発表できる
・話して良い・悪いの区別をつけることができる
・自己紹介をすることができる
・質問をすることができる
・初めて会う人に話しかけることができる
・声の調節ができる

【聞く・判断】
・人の話を聞くことができる
・指示を聞いて行動することができる
・指示の内容を理解することができる
・冗談を真に受けずに対応することができる

【会話】
・あいさつをすることができる
・一方的に話すことを抑えることができる
・ペアで簡単な会話ができる(2〜3回受け答えができる)
・グループで話し合うことができる
・相手と口頭での意思疎通ができる

E 集団活動

【集団生活】
・時間を守ることができる
・順番を守ることができる
・集団での登下校ができる

【友だち関係】
・ルールを守ることができる
・友達との衝突をなくすことができる
・勝敗にこだわらず関わることができる
・勝負に負けても怒りを制御できる
・友達の輪に入ることができる

【仲間との協働】
・仲間意識、所属意識を高めることができる
・仲間と協力し、意欲的に活動することができる
・仲間と活動する時、計画・立案・実行のすべての活動に携わることができる
・人の動きに合わせることができる

【状況判断】
・場の空気を読むことができる(TPOに合わせる)
・かくれたルールを理解することができる(暗黙の了解)

F 意思表示・伝達

【要求・表現】
・要求を伝えることができる
・困った時に助けを求めることができる
・理由を伝えて断ることができる
・ありがとう、ごめんなさいを伝えることができる
・自分の気持ちを伝えることができる
・適切に気持ちを表現することができる

【情報共有】
・報告・連絡・相談を行うことができる
・連絡事項の伝達を受けることができる

※上に示したスキルは、自立活動の以下の区分項目と関係するものが多くあります。

  • 「1健康の保持」(4)障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること
  • 「2心理的安定」(2)状況の理解と変化への対応に関すること
  • 「3人間関係の形成」(3)自己の理解と行動の調整に関すること

アセスメントツールの機能紹介【アセスメント・授業内容・評価】

こちらは児童・生徒の基本情報を入力するページです。

ボタンを押すことで別のシートに移動することもできます。


ソーシャルスキルの各項目をみてチェックしていきます。ここでは、試しに就学前をチェックしてみています。

0…課題なし
1…まだ判断ができない
2…課題がある

※あくまで判断の材料にするものですので“正しさ”にこだわりすぎないように留意してください。

ソーシャルスキルの項目についてチェックすると、自立活動6区分27項目のどこに課題があると考えられるか、ヒートマップで示されます。

この場合は、
健康の保持(4)障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること、心理的な安定(2)状況の理解と変化への対応に関すること、コミュニケーション(1)コミュニケーションの基礎的能力に関すること、が特に課題として示されています。

※障害種によっては、別の要因で困難が生じていることが考えられます。
そのため、このツールは「自閉症・情緒障害を想定」としています。

下の画像は記入例のシートに書かれている説明です。


下の画像は「授業構成シート」です。
※該当する学年のシートを選択して使ってください。

扱いたいソーシャルスキルを選択すると、そのスキルに関連する区分項目が自動的に示される仕組みになっています。

なお、ソーシャルスキルと6区分27項目の関連は、
自閉症・情緒障害特別支援学級の実態 × 学習指導要領解説の記載
を考慮して作成されたものです。

下図のように、授業実施日や評価、指導の工夫、授業後の変化を記載することで学習履歴、学んだスキルを引継いでいくことができます。

下図は授業構成シートの記入例です。
記入する文章量も多くないので、簡潔に記録を残すことができます。

現場の先生が「これなら業務の範囲内でできる」と考えながら作成されました💡

年間の授業回数を踏まえて、どのソーシャルスキルを優先的に扱っていくべきか計画することもできますね。

【動画】アセスメントツールの操作説明【使い方はこちら】

活用可能性・今後の課題

このツールは,学習指導要領や先行研究の情報を集約し,経験が少ない先生方が行う実態把握と授業計画をサポートすることが目的です。

児童のソーシャルスキルの実態を行動レベルでチェックし,自立活動6区分27項目との関連付けの参考にすることで,広い視野で授業を計画できるのではないかと考えています💡

このツールは、次年度の引継ぎや新年度の授業計画に活用することもできるようにしてあります。前年度からの変化を把握したり,過去の自立活動の引継ぎを行い,学習内容や個人の成長を記録・活用する予定です。

特別支援学級での学びを学校全体で共有し,通常学級の児童にも学習の機会が広がるような支援体制が構築できるよう、広い視野で改良を重ねていきたいと考えています。

ツールの実物はこちら

引用文献

本吉大介・倉田沙耶香(2021)知的障害特別支援学校高等部における既存のデータとデジタルツールを活用した自立活動指導体制の構築と指導実践,熊本大学教育実践研究,38,99−107

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