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AIチャットボットのその先へ。Dify連携スプレッドシートで特別支援教育の自立活動学習指導案(集団用)を革新する「あきまるくんスーパー」!

notebookLMによる要約動画

はじめに:自立活動の学習指導案(集団用)作成の壁を超えるために

※スプレッドシートの表記様式は、熊本県の学習構想案(自立活動集団用)をもとに作成しています。

特別支援教育の現場、特に自立活動の集団指導において、「指導案」の作成は、指導の質を左右する極めて重要なプロセスです。集団のダイナミクスを活用しつつも、生徒一人ひとりの実態や目標に寄り添った「個別最適な学び」を設計しなければなりません。

しかし、この理想を追求する道のりは平坦ではありません。

  • 複数の生徒の複雑な実態を同時に考慮し、関連性を分析するには膨大な時間がかかる。
  • 個別の指導計画を、集団としての学習の流れの中にどう位置づけるか、その設計は担当教員の経験や力量に依るところが大きい(属人化)。
  • 一般的なAIチャットボットに相談しても、断片的なアイデアは得られても、構造化された指導案として形にするには、結局多くの手作業が必要となる。

これらの課題を解決し、教師がより本質的な業務に集中できる環境を創出できないか。その想いから開発したのが、今回ご紹介する**「あきまるくんスーパー(スプレッドシートバージョン)」**です。これは、単なるAIチャットボットの応用ではなく、スプレッドシートとLLMプラットフォーム「Dify」を連携させることで、指導案作成のワークフローそのものを変革するシステムです。

関連記事はこちら(あきまるくん)

システムの全貌:3つのシートが連携する指導案ファクトリー

このシステムの心臓部は、Googleスプレッドシート上に構築された3つのシートです。それぞれが明確な役割を持ち、メニューから実行するだけで、AIが段階的に指導案を生成していきます。

  1. 【入力】生徒の実態と指導目標シート: 指導の起点となる、生徒一人ひとりの実態や長期・短期目標を入力するデータベースです。
  2. 【分析】個別の題材観シート: ステップ1の実行で、AIによる分析結果が書き込まれるシート。
  3. 【計画】題材計画シート: ステップ2の実行で、最終的な指導計画案が生成されるシート。

使い方と生成の流れ:わずか2ステップで専門的な指導案が完成

ステップ0:準備
まず、「生徒の実態と指導目標」シートに、対象となる生徒(今回はA, B, Cの3名)の実態や課題を入力します。これがAI分析の基礎情報となります。
次に、「個別の題材観」シートに全体的な題材観について入力してください。また、教師の指導観も含めて入力してください

基礎情報作成をサポートするチャットボットはこちら

ステップ1:個別分析と集団の意義を生成
メニューから「ステップ1」を実行すると、AIが動き出します。

  1. 個別の題材観・指導目標の生成: 各生徒の実態を基に、「この題材がこの生徒にとってどのような意味を持つか(個別の題材観)」と「この題材で達成すべき具体的な目標」を分析し、「個別の題材観」シートに出力します。
  2. 集団で学習する意義の生成: さらに、3人分の情報を統合的に分析し、「なぜこの3人が一緒に学習するのか」その教育的意義を言語化します。

【この時点での価値①】視覚的な比較分析が可能に
このステップの最大の価値は、複数の生徒の分析結果が、構造化された表形式で一覧できる点です。

従来のチャットボットでは流れ去ってしまう情報が、スプレッドシート上に並ぶことで、教師は「生徒Aのこの課題と、生徒Cの目標は関連しているな」「生徒Bへの支援は、集団全体にこういう影響を与えそうだ」といった、横断的な視点での比較・検討が容易になります。AIの分析結果を客観的に俯瞰し、指導のヒントを得ることができるのです。

【重要】AIと人間の協働:教師によるレビューと修正
ここで重要なのは、「AIの生成物はあくまでドラフト(たたき台)」であるということです。教師は専門的知見に基づき、AIが生成した文章を確認し、より適切な表現に修正・加筆します。この**「人間の介在」**こそが、指導の質を担保する上で不可欠なプロセスです。

ステップ2:題材計画と学習の流れを生成
教師によるレビューが完了したら、「題材計画」シートのG1セルに総授業時数を入力し、メニューから「ステップ2」を実行します。AIは、教師が修正した最新の「個別の題材観」シートの内容を読み込み、それを基に最終的な指導計画を作成します。

  1. 個別指導計画の生成: 生徒A, B, Cそれぞれに対し、総授業時数を考慮した具体的な指導計画を、授業の流れ(フェーズ)ごとに分割して生成します。
  2. 共通の学習の流れの生成: さらに、各フェーズにおける3人分の個別計画を統合・要約し、「導入・展開・まとめ」の形式で、その時間の共通の学習活動の流れを生成します。

【この時点での価値②】一貫性のある詳細な計画を自動生成
これにより、個別最適な視点と集団指導の視点の両方を満たした、具体的で一貫性のある指導計画案が、ほぼ自動で完成します。

なぜ「ただのAIチャットボット」では不十分なのか?

このシステムの優位性を理解するために、従来のAIチャットボットとの違いを比較してみましょう。

比較項目従来のAIチャットボットスプレッドシート×Dify連携システム
データの形式テキストの会話形式(非構造化)表形式(構造化)
情報の永続性会話ログとして残るが、再利用しにくいデータベースとして永続的に蓄積・活用可能
複数生徒の比較困難。文脈が混ざりやすい極めて容易。 視覚的な一覧比較が可能
ワークフローユーザーが手動で主導する必要がある「分析→レビュー→計画」の業務フローがシステム化
専門性汎用的特化型。 DifyナレッジとGASプロンプトで専門性を担保

端的に言えば、**AIチャットボットが「相談相手」**であるのに対し、**このシステムは「業務プロセスを遂行するパートナー」**です。指導案という構造化された成果物を作成する上で、情報の構造化、一覧性、そして確立されたワークフローを持つ本システムは、圧倒的な優位性を誇ります。

システムの舞台裏

この洗練されたワークフローは、3つの技術の組み合わせによって実現されています。

  • Googleスプレッドシート: 教師が直感的に操作できるUIと、情報を蓄積するデータベースの役割を担います。
  • Google Apps Script (GAS): スプレッドシートの”頭脳”です。セルの情報を読み取り、AIへの詳細な指示書(プロンプト)を動的に組み立て、Difyへ送信。そして、AIからの返答を解析し、適切なセルに書き込むという一連の処理を自動化します。
  • Dify: 高度なAIモデルを手軽かつ専門的に利用できるプラットフォームです。学習指導要領のような専門知識を「ナレッジ」としてAIに組み込み、GASから送られてくるプロンプトに基づいて最適な回答を生成する”心臓部”です。

まとめ:AIを「使いこなす」ことで拓ける、教育の新たな地平

今回開発した「自立活動指導案AIサポート」スプレッドシートは、単なる業務効率化ツールではありません。

  • 指導の質の向上: AIの客観的な分析力と教師の専門的知見を融合させることで、より多角的で質の高い指導計画の立案を可能にします。
  • 教師の負担軽減: 時間のかかる作業をAIに任せることで、教師は教材研究や生徒との対話といった、より創造的で本質的な業務に時間を注ぐことができます。
  • チーム指導の促進: 構造化されたデータは、教員間の情報共有を円滑にし、「チームとしての指導」の質を高めます。

AIに仕事を「奪われる」のではなく、AIを強力なパートナーとして「使いこなす」。このシステムは、その理想的な協働関係を具現化した一つの答えです。私たちは今、テクノロジーの力で教育の可能性を大きく広げる、新たな時代の入り口に立っています。

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