はじめに
特別支援教育に関わる先生方、日々のお仕事お疲れ様でございます。
これまで、研修の場で色々と話をしてきたものの、「現場の先生方の実感やニーズにどこまで寄り添えているのか」と考えることがありました。
今回の研修では、先生方が日々感じている理想や課題を出発点として、「現実的に可能なこと」「新しく挑戦できること」を一緒に考えていきたいと思います。特別支援教育において、個々の子どもたちに合った支援を模索するのと同じように、先生方のそれぞれのニーズや可能性を共有し、学校や地域で取り組めることを探っていく場にしたいと考えています。
また、私たち外部の専門家や大学・研究機関として、どのように先生方の実践を支援できるのか、そのニーズを具体的に発掘し、現場のためになる研究を進めていきたいと思っています。
具体的なアクションにつながるような時間にできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
アンケートの回答を分析
インクルーシブ教育の理想についての回答
インクルーシブ教育の理想に関する回答(代表的な2つに絞った版) | ||
カテゴリー | サブカテゴリー | 回答 |
理念・目標 | 多様性の尊重と受容 | ・合理的配慮が当たり前となり、多様な学びの場が誰にでも理解され偏見などがない教育 ・自分と違っていても受け入れることができる人間教育(生徒に限らず大人も) |
すべての子どもの学びの権利保障 | ・差別偏見なく皆一緒に学ぶ ・障がいのあるなしに関わらずすべての子ども達が安心して学べる環境を作っていく | |
共生社会の実現 | ・社会には、色んな人がいる。社会の形成者としてお互いを理解しあうことで、一緒に生活できるようになる教育。 ・地域社会の中で安心してよりよい生活を送ることができて社会参加できるための力を育成する。 | |
個の尊重と自己実現 | ・得意なことや不得意なことなど様々に持った子供達が、一人一人の良さや可能性を生かしつつお互いを理解して協働して学ぶ姿 ・1人1人が、自信を持って主体的に学校生活を送ることができ、自己肯定感を高めることができる | |
共に学ぶことの価値 | ・学習進度が違っていてもそれぞれの学びを互いにあたたかく認め合うことができる ・障がいのある子どもと障がいのない子どもが、達成感や成就感を持ちながら、可能な限り同じ場所で学習できること | |
教育内容・方法 | 個別最適化された学び | ・その子にあわせたカリキュラムが必要 ・個に合った学びの場で必要な力を育てていくとともに、障がいのある子どもを含む様々な子ども達が学び合う機会を作る。 |
共に学ぶための工夫 | ・なるべくできる事はみんなと一緒にしていけたらと思う。一緒にいる中でしかお互いに育たないと思う。 ・教師の立場から言えば、どの児童もわかる授業作りの工夫 | |
社会性を育むための教育 | ・障がいや困り感がある子供達は、交流学習等や活動の中で社会性を身につけ自立に繋がるように支援をする。 ・地域社会の中で安心してよりよい生活を送ることができて社会参加できるための力を育成する。 | |
特別支援教育の専門性 | ・特別支援学級においては児童の実態に応じた特別支援学級での目的、交流学級での目的を明確にしたうえで交流及び共同学習を行う ・自立活動の充実も重要 | |
発達段階に応じた支援 | ・園生活の中で障がいが重い子ども達は、周囲からの認知があり尊重されて生活出来るが、発達障がいの子ども達は生活の中で誤解を受けて困っている。 ・大人が正しい知識を持ち読み取りをする中で、適切な支援をし認め合える仲間づくりが出来ることが理想 | |
環境整備・支援体制 | 人的支援 | ・まずは人員配置。学級に入れる大人の数が確保されたり、1クラス20人くらいにできればもっと違う学校生活を送ることができる ・交流クラス、支援学級に関わらず、みんなで児童を支援することができる環境 |
物的環境 | ・物的環境や専門的知識を有する人材の確保,及び学校現場の人員の確保が,障がいのあるなしに関わらず,教室にいる全ての児童・生徒が教育的支援を受けられる環境を実現させるために必要 ・環境整備や予算を増やす事が大事 | |
教職員の専門性向上 | ・学校の中で、教員により児童への対応の仕方の温度差を感じる。全職員が児童の特性や対応の仕方を理解して児童への指導をすることができる ・多様な子供達がいることを前提とした学校経営、学級経営、授業づくりをし、個々に必要な合理的配慮を提供する | |
制度・運用の改善 | ・「半分以上は支援学級で過ごしなさい」という縛りがない ・もっとフラットな平等な関係での関わり合いができる。 | |
その他 | 子どもの自尊感情の育成 | ・子どもたちの自尊心を育てる事。一人一人大事な存在であり、自分を大切にする気持ちを育てる。 ・支援学級の児童は別と言われない |
制度の見直し | ・自閉症・情緒障がいの通級指導の充実がへと転籍することが必要ではないか ・もっとフラットな平等な関係での関わり合いができる。 |
インクルーシブ教育の理想に関するアンケート結果まとめ
アンケートからは、インクルーシブ教育の理想として、まず多様性の尊重と受容が強く求められていることがわかります。すべての児童が、その個性や能力に関わらず共に学び、互いを認め合える教育環境が望まれています。特に、合理的配慮が当たり前となること、障害の有無に関わらず、誰でも分け隔てなく学べる平等な学びの場が求められています。また、個々の児童の学習進度や得意不得意を尊重し、それぞれに合った学びを提供できるよう、個別のカリキュラムや丁寧な指導・支援が重要視されています。
次に、インクルーシブ教育は、単に共に学ぶだけでなく、共生社会の実現に向けた社会性を育むことを目指す必要があるという意見が多く挙げられました。子どもたちが社会の一員として自立し、地域で安心して生活できる力を養うこと、そして、保護者、教師、専門家が連携し、子どもの成長を支えるチームとして機能することの重要性も指摘されています。さらに、教職員の専門性向上、バリアフリーな教育環境整備、アンコンシャス・バイアスへの気づきなど、インクルーシブ教育を実現するための具体的な取り組みも必要とされています。
これらの結果から、インクルーシブ教育は、単に障害のある子どもを同じ教室に入れるだけではなく、すべての児童が互いを尊重し、共に学び、成長できるような、包括的かつ質の高い教育システムを構築することを目指すべきであるという共通認識が見て取れます。
特別支援教育に関する課題についての回答
特別支援教育に関する課題についての回答(代表的な2つに絞った版) | ||
カテゴリー | サブカテゴリー | 回答 |
制度・運用に関する課題 | 教育課程・進路に関する課題 | ・療育手帳を所持していない生徒が知的障がい学級に所属しているので、進路の関係上教育課程にとても悩む。 ・グレーゾーンの子たちの指導・支援や進路への対応が難しいと感じている。 |
連携・移行に関する課題 | ・幼稚園から小学校、小学校から中学校、中学校から高校の連携に課題がある。 ・転籍のに伴う見極め | |
制度設計・運営に関する課題 | ・組織として特別支援教育の支援体制を構築するのが難しい。 ・特別支援学級は1クラス8人までとなっているが、1人でも情緒が安定せずに乱れやすい児童がいると、静かな学習環境を保障できないときがある。 | |
制度の不十分さ・環境整備に関する課題 | ・特別支援教育に対する関心やニーズは年々高まっていると感じるが、それに十分応えられるような環境が少ないと感じる。 ・特別支援学級在籍児童が多く、加配もないため、保護者が求める丁寧な指導・支援が難しかった。 | |
計画・評価に関する課題 | ・普通学級に在籍している児童に対して個別の教育支援計画が作成されていても、期待ほど効果が見えず、担任や児童の困り感の解消が難しそうだと感じる時がある。 ・特別な支援を要する児童の意志が固く、なかなか集団行動が難しい場面を目にしたとき、コーディネーターとして具体的な対応策が思いつかない。 | |
人員・体制に関する課題 | 人員不足 | ・人手が足りず、十分な支援ができない。 ・配慮を要する児童数の増加に対し、教職員の数が足りず、加配もないので、個に応じたきめこまやかな支援が行き届いていない。 |
人員配置の偏り | ・特別支援学級の生徒数が多すぎる。いるはずの特別支援学級担当者がいない学校が多数ある。 ・担任をもっているため、通常学級で困り感をもっている児童のことをフォローすることが難しい。 | |
教職員の専門性に関する課題 | 研修機会の不足 | ・経験の浅い先生方の研修の場をしっかり確保しなければならないが、なかなか時間がとれていない。 ・校内研修等で、ICT等他の研修をしなければならず、特別支援教育についての研修をする機会が減っている。 |
専門知識・スキルの不足 | ・教職員の配慮を要する児童を見取る力、不適切な行動に対応する力を高めていくこと ・個別の教育支援計画を活用できる目標・手だての書き方や合理的配慮の記入例の周知 | |
理解不足・偏見 | ・教職員の特別支援教育に対する知識、理解について ・特別支援教育についての啓発 | |
保護者との連携に関する課題 | 保護者のもつ情報の不足 | ・わが子の障害に対する保護者の理解が十分でなく、なかなか、学校側と足並みをそろえた最適な支援を行えないときがある。 ・特別支援に関する理解が難しい家庭がある |
情報伝達の課題 | ・保護者への伝え方も難しさを感じる。 ・保護者への啓発 | |
通常学級との関係に関する課題 | 連携不足 | ・通常学級に在籍している様々な困り感のある児童に対する支援をどう進めていくか。 ・通常学級担任との折り合いが付かないこと。 |
教員の意識・理解不足 | ・通常学級の先生方の特別支援に対する考え方に差があり難しい。いまだに支援学級の子どもは別といった考えの方がおられる。 ・普通学級に在籍している児童に対して個別の教育支援計画が作成されていても、期待ほど効果が見えず、担任や児童の困り感の解消が難しそうだと感じる時がある。 | |
通常学級における支援の不十分さ | ・通常学級における配慮を要する児童の適切な支援(SSTや怒りのコントロールなどの適切な指導支援のあり方) ・通常学級に在籍している生徒への支援の在り方について検討が必要である。 | |
情報共有不足 | ・自閉症・情緒障がい学級の担任をしているが、殆ど交流学級にいくことがない生徒がいるため、日々特別支援学級で授業を行っている。そのため、通常学級にいる支援の必要な生徒の実態を把握することができない。 ・担任をもっているため、通常学級で困り感をもっている児童のことをフォローすることが難しい。 | |
コーディネーターの役割に関する課題 | 経験・専門性の不足 | ・本年度初めて特別支援教育コーディネーターとなり、不慣れであり、また特別支援教育への知識も浅く、自身の研修や経験の積み重ねの必要性を感じています。 ・今まで特別支援教育では担任のみだった為、コーディネーターとしての役割を果たしていないのではないか? |
業務過多・役割の不明確さ | ・コーディネーターの役割と担任の役割の両立の難しさを感じています。 ・担任をしながら、校内だけでなくブロック内でのコーディネーターとしての役割もあるので、現実的にできない部分が多くなってきている。 | |
その他 | 受け入れ体制・環境に関する課題 | ・入級希望者の多さ ・在籍している児童の障がいが重複している事や人数が多いために、なかなか落ち着かない状況にある。 |
ニーズの把握・対応に関する課題 | ・児童・生徒の教育的にニーズにどう応えていくか ・自立活動の充実化 | |
連携の難しさ・情報共有不足 | ・学校内でのケース会議や専門機関へ繋げるのに時間がかかり、繋げることもできないこともある。 ・限られた教職員で校内支援体制を充実させていくこと | |
支援体制に関する課題 | ・知的と自情が混ざった学級なので多様な生徒が多く、手が回らないこと。 ・学校全クラスの児童や担任の困り事を把握しても、それに対する十分な手だて(支援員の配置など)をすることができない。 | |
専門機関との連携に関する課題 | ・ADHDやLDの診断を受けており支援を必要としている児童が、家庭の都合で他校通級ができないため、必要な指導・支援を受けることが難しかった。 ・児童虐待やヤングケアラーなど家庭の問題も生じている。 | |
協議・検討に関する課題 | ・校内特別支援教育委員会を開催している際、特別な教育的ニーズのある生徒なのか家庭環境に課題がある生徒なのか、一人一人の教育的ニーズに応じた指導と支援を提供できているのかを協議しているが、生徒の可能性を伸ばすことができているのか不安になる。 ・子どもの実態把握や必要な支援を交流学級の担任や教科担任の先生方と話し合うことはできた。しかし、子どもに関わる学校以外の関係者や関係機関との連絡調整を養護教諭にお任せすることが多かった。 | |
授業・指導に関する課題 | ・UDの視点での授業作り ・合理的配慮を行うが、特別扱いでないということを他の子どもに理解してもらうことが大切だが十分でないこと。 |
特別支援教育に関する課題についてのアンケート結果まとめ
アンケート結果からは、特別支援教育において多岐にわたる課題が存在することが明らかになりました。まず、制度・運用に関する課題として、療育手帳の有無による進路の制約、幼稚園から高校までの連携不足、特別支援教育体制の構築の難しさが挙げられました。また、特別支援学級の定員や形態、通級指導教室の不足など、制度設計や運営面での課題も指摘されています。
人員・体制に関する課題としては、教員や支援員の人手不足、加配の不足、人員配置の偏りが深刻であり、個別のニーズに対応したきめ細やかな支援が困難になっている現状が浮き彫りになりました。さらに、教職員の専門性に関する課題として、研修機会の不足、専門知識・スキルの不足、特別支援教育に対する教職員の理解不足や偏見が指摘され、教職員の専門性向上は喫緊の課題です。
保護者との連携に関する課題も挙げられています。特別支援教育や学校体制に関する保護者の理解が不十分であったり、学校との認識のずれ、家庭との連携不足が、適切な教育的支援を難しくしている要因となっています。
通常学級との関係においては、連携不足や教員の意識不足、通常学級における支援の不十分さ、情報共有の難しさが課題として挙げられています。
コーディネーターの役割に関する課題として、経験や専門性の不足、業務過多、役割の不明確さなどが示されました。その他、入級希望者の多さ、在籍児童の障がいの重複、専門機関との連携不足、授業・指導方法の課題など、多くの課題が複合的に存在していることが明らかになりました。
これらの課題を総合的に解決していくためには、制度の見直し、人員の確保、教職員の専門性向上、関係機関との連携強化など、多方面からのアプローチが求められます。
このまとめは、特別支援教育が抱える多くの課題を浮き彫りにし、その解決に向けた具体的な施策を検討する必要性を示唆しています。
特別支援教育に関する課題で優先的にクリアしたいことについての回答
特別支援教育に関する課題で優先的にクリアしたいことについての回答(代表的な2つに絞った版) | ||
カテゴリー | サブカテゴリー | 回答 |
制度・運用に関する課題 | 教育課程・進路に関する課題 | ・療育手帳を所持していない生徒が知的障がい学級に所属しているので、進路の関係上教育課程にとても悩む。 ・進路指導や教育課程の編成について。 |
連携・移行に関する課題 | ・幼稚園から小学校、小学校から中学校、中学校から高校の連携に課題がある。 ・転籍伴う見極め | |
制度設計・運営に関する課題 | ・組織として特別支援教育の支援体制を構築するのが難しい。 ・特別支援学級への入級手続きの簡素化、支援学級の児童の定員減 | |
計画・評価に関する課題 | ・個別の指導計画の計画内容を学校の実態にあったものにしたい。 | |
人員・体制に関する課題 | 人員不足 | ・人手が足りず、十分な支援ができない。 ・担当職員を増やしてもらいたい。 |
人員配置の偏り | ・特別支援クラス2クラスに、プラス1人配置 ・通常学級には個別の支援が必要な児童がいる。担任だけでは指導が困難な場合、支援員を配置したいが、優先順位を考えて配置すると、どうしても支援が入らないクラスもあり、十分な支援をすることができないことが課題。 | |
人材確保 | ・人材確保。 | |
教職員の専門性に関する課題 | 研修機会の確保 | ・特別支援教育の研修の機会を確保できるようにする。 ・教職員の研修 |
専門知識・スキルの向上 | ・教職員の配慮を要する児童を見取る力、不適切な行動に対応する力を高めていくこと ・学級経営そのものに関わる事項になるため、困り感に対応する専門的な知識やよりよい指導・支援について、もっと学ぶ必要があると考える。 | |
指導・支援に関する知識・スキルの向上 | ・個別の教育支援計画を活用できる目標・手だての書き方や合理的配慮の記入例の周知 ・基礎的環境調整や合理的配慮などを意識しながら、計画的な学級運営を呼びかけていくこと(学びのUD化) | |
啓発活動 | ・地域や地域の幼・保への特支の現状や特別支援教育についての啓発活動 ・巡回相談員やリーダーコーディネーターを活用して、専門的なアドバイスを得る機会を増やしたい。 | |
保護者との連携に関する課題 | 連携の困難さ | ・困り感のある児童に対する支援の中で、保護者との連携が難しいケースがあり、先に進まないことがある。 ・学校生活での子供との関わり合いの中で、子供の現状を把握して、子供が抱えている困り感や不安感を保護者に伝え、自立に繋がる必要な合理的配慮のもとで家庭と連携して支援していけるようにしたい。 |
保護者への啓発 | ・まずできそうなことは、保護者への啓発です。入学生説明会などで特別支援教育についての話をすることで、『聴いたことがある』と思ってもらうことから、はじめることができるといいかなあと思います。 ・家庭の特別支援に関する理解が難しい家庭がある | |
通常学級との関係に関する課題 | 通常学級における支援の充実 | ・通常学級における配慮を要する児童の適切な支援(SSTや怒りのコントロールなどの適切な指導支援のあり方) ・通常学級で困り感をもっている児童へのフォロー。 |
コーディネーターの役割に関する課題 | 情報収集・共有 | ・他のコーディネーターの方々の活動の実例などのお話を伺う機会が欲しいです。 |
役割認識の不明確さ | ・今まで特別支援教育では担任のみだった為、コーディネーターとしての役割を果たしているか不安を感じる。 | |
その他 | ニーズへの対応 | ・児童・生徒の教育的にニーズにどう応えていくか ・自立活動の充実化 |
生徒への対応 | ・教室に入らない生徒への対策 ・集団行動で対象児童が即時的に望ましい行動がとれないときの対応方法については、特に困り感が強いので優先的にクリアしたい。 | |
校内体制・環境整備 | ・校内支援委員会の充実を図ること。並行して、学校全体への啓発と職員への研修。 ・特別支援学級在籍生徒の人数が多くなり、一斉指導の時間が増え、個別指導の時間の確保が難しい。 | |
連携・情報共有 | ・また、特別支援教育支援員に協力していただき、通常学級で支援の必要な生徒に支援してもらうことをしっかり伝える。 ・巡回相談員やリーダーコーディネーターを活用して、専門的なアドバイスを得る機会を増やしたい。 | |
時間確保 | ・時間の確保 | |
啓発活動 | ・特別支援教育の校内だけでなく、学校地域への啓発活動 | |
通級支援 | ・自校通級や巡回型通級の開設。 | |
転籍に関する課題 | ・転籍伴う見極め | |
通常学級生徒への支援 | ・支援を要する通常学級生徒への対応 | |
職員体制 | ・自分ではできないが、職員が全員揃った状態で学校をスタートできるようにしてほしい。 |
特別支援教育に関する課題で優先的にクリアしたいことについての回答結果まとめ
アンケート結果から、特別支援教育における喫緊の課題として、まず教職員の専門性向上が挙げられます。研修機会の確保、専門知識・スキルの向上、指導・支援に関する知識の習得、そして特別支援教育への理解を深めるための啓発活動を優先的に行うべきだという意見が目立ちました。特に、合理的配慮やUD(ユニバーサルデザイン)の視点を取り入れた授業づくり、個別の教育支援計画の活用に関する知識・スキルの向上は急務です。
次に、人員不足と偏りを解消し、個別の教育ニーズに対応できる体制を整備することが強く求められています。教員や支援員の人員確保、加配の実現、そして通常学級においても支援が必要な児童へのサポート体制を構築することが優先的にクリアすべき課題です。特に、特別支援学級の定員減や入級手続きの簡素化も求められています。
さらに、保護者との連携強化も重要な課題です。保護者の理解不足を解消するための啓発活動や、保護者との情報共有・連携体制の構築が必要です。また、通常学級との連携を強化し、通常学級においてもインクルーシブ教育が実践できる体制を整えることも重要です。
その他、制度・運用上の課題として、教育課程や進路指導、連携・移行に関する課題、そして特別支援教育のあり方そのものに関する課題をクリアしたいという意見がありました。また、コーディネーターの役割の明確化や、地域や関係機関との連携強化、自校通級や巡回型通級の開設を求める声も多く聞かれました。
これらの結果から、教職員の専門性向上、支援体制の充実、保護者との連携強化、制度・運用の改善が、特別支援教育における喫緊の課題であり、優先的に取り組むべきであるという共通認識が示されています。
取り組むべき課題とその根拠(アンケート結果から)
取り組むべき課題と根拠 | |
課題 | 根拠となる回答内容 |
1. インクルーシブ教育を推進するための教職員の専門性向上 | 「特別支援教育の課題」 経験の浅い先生方の研修の場をしっかり確保しなければならないが、なかなか時間がとれていない。 校内研修等で、ICT等他の研修をしなければならず、特別支援教育についての研修をする機会が減っている。 教職員の配慮を要する児童を見取る力、不適切な行動に対応する力を高めていくこと 「優先的にクリアしたい課題」 特別支援教育の研修の機会を確保できるようにする。 様々な発達障害に対応できるよう、職員の研修や実践を進めていくこと 学級経営そのものに関わる事項になるため、困り感に対応する専門的な知識やよりよい指導・支援について、もっと学ぶ必要があると考える。 「インクルーシブ教育の理想」 「教師の専門性向上」特別支援教育に関する知識やスキルを持つ教師を育成すること。 「すべての教師が、インクルーシブな教育を実践できるような研修やサポートを提供すること。」 |
2. 個別の教育ニーズに対応するための支援体制の充実 | 「特別支援教育の課題」 人手が足りず、十分な支援ができない。 通常学級に在籍している様々な困り感のある児童に対する支援をどう進めていくか。 特別支援学級は1クラス8人までとなっているが、1人でも情緒が安定せずに乱れやすい児童がいると、静かな学習環境を保障できないときがある。 知的と自情が混ざった学級なので多様な生徒が多く、手が回らないこと。 「優先的にクリアしたい課題」 担当職員を増やしてもらいたい。 加配の確保 通常学級には個別の支援が必要な児童がいる。担任だけでは指導が困難な場合、支援員を配置したいが、優先順位を考えて配置すると、どうしても支援が入らないクラスもあり、十分な支援をすることができないことが課題。 「インクルーシブ教育の理想」 「個別のニーズへの対応」すべての子どもが、自分のペースで、最適な方法で学べるよう、個別の教育計画(IEP)や合理的配慮を提供すること。 |
3. 保護者との連携強化と理解促進 | 「特別支援教育の課題」 わが子の障害に対する保護者の理解が十分でなく、なかなか、学校側と足並みをそろえた最適な支援を行えないときがある。 子供の気になる言動を伝えても、受けいれることができない保護者の方への対応がむずかしいことがある。 家庭の特別支援に関する理解が難しい家庭がある 「優先的にクリアしたい課題」 困り感のある児童に対する支援の中で、保護者との連携が難しいケースがあり、先に進まないことがある。 まずできそうなことは、保護者への啓発です。入学生説明会などで特別支援教育についての話をすることで、『聴いたことがある』と思ってもらうことから、はじめることができるといいかなあと思います。 「インクルーシブ教育の理想」 「協働的な学びの促進」保護者、教師、専門家が連携し、子どもの成長を支えるチームとして機能すること。 |
4. 通常学級におけるインクルーシブ教育の実践推進 | 「特別支援教育の課題」 通常学級に在籍している様々な困り感のある児童に対する支援をどう進めていくか。 通常学級の先生方の特別支援に対する考え方に差があり難しい。いまだに支援学級の子どもは別といった考えの方がおられる。 通常学級に在籍している生徒への支援の在り方について検討が必要である。 「優先的にクリアしたい課題」 通常学級には個別の支援が必要な児童がいる。担任だけでは指導が困難な場合、支援員を配置したい 通常学級で困り感をもっている児童へのフォロー 「インクルーシブ教育の理想」 「多様性の尊重」すべての子どもが、その個性や能力に関わらず、同じ教育環境で学べること。 「バリアフリーな教育環境」物理的なバリアや情報へのバリアを取り除き、すべての子どもが容易にアクセスできる学校環境を整備すること。 |
5. 特別支援教育における連携体制の強化 | 「特別支援教育の課題」 幼稚園から小学校、小学校から中学校、中学校から高校の連携に課題がある。 学校内でのケース会議や専門機関へ繋げるのに時間がかかり、繋げることもできないこともある。 自閉症・情緒障がい学級の担任をしているが、殆ど交流学級にいくことがない生徒がいるため、日々特別支援学級で授業を行っている。そのため、通常学級にいる支援の必要な生徒の実態を把握することができない。さらに生徒の顔と名前が一致しない状態で、会議に参加しても対応に苦慮している現状にある。 「優先的にクリアしたい課題」 他のコーディネーターの方々の活動の実例などのお話を伺う機会が欲しい 巡回相談員やリーダーコーディネーターを活用して、専門的なアドバイスを得る機会を増やしたい。 他教員とのコミュニケーション(UDの啓発) 「インクルーシブ教育の理想」 「協働的な学びの促進」保護者、教師、専門家が連携し、子どもの成長を支えるチームとして機能すること。 |
課題とニーズから、少しでも可能性があるアイデアを挙げました
ニーズが明確で、優先的に取り組むべきことを共有したいと思います。
こちらのフォームにあるチェックリストへ入力をお願いします。
https://forms.gle/sRfejXpVWHaw5Gof6
優先的に取り組みたい、取り組みを支援したいこと
アンケート結果を集計いたしました。
【紹介】特別支援教育に関わる先生を支援する情報プラットフォーム
私の研究プロジェクトで作成しているサイトです。
特別支援教育の相談ができるAIチャットボットが多数あります。
①生成AIチャットボットの評価
②生成AIチャットボットの使い方
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