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特別支援教育における算数・数学の絵カード教材の多様な活用法【chatGPT Deep research】

はじめに

知的障害のある児童生徒に対する算数・数学教育では、視覚的な支援が学習理解を深める重要な手立てとなります。

特に絵カード教材は、日常の身近な物品や状況を描いたカードを用いて数量や図形の概念を示すことで、抽象的な内容を具体的に捉えやすくするものです。日本の特別支援学校学習指導要領においても、児童生徒の発達段階に応じた具体的・視覚的な教材の活用や、日常生活との結びつきを重視した指導が求められています(​nise.go.jp)。

この記事では、絵カード教材の多様な活用法について、国内外の実践例や理論を踏まえて詳述します。Les Staves氏の理論や実践にも触れ、特別支援教育における算数・数学指導への示唆を考察します。

特別支援学校学習指導要領に見る算数教育のポイント

日本の特別支援学校(知的障害)における算数・数学科は、日常生活に必要な数・量・図形等の基礎的な概念や技能の習得と、それらを活用する力の育成が大きな目標です。

また、児童生徒の認知発達の段階に応じて具体物や視覚教材を用い、生活場面に結びつけて指導することが大切です。

例えば、教員が工夫する自作教材として、加減算の文章題を視覚化した「文章題の絵図」や日常の場面を描いた「絵カード」などが頻繁に活用されており、教科書の内容理解を助ける補助となっています​。このように、絵カード等の視覚教材は重要な位置を占めており、算数が苦手な子どもでも見てわかる工夫によって学習参加を促すことができます。

絵カード教材とは:役割と利点

絵カード教材とは、物品、数量、形、場面などを示す絵や写真を印刷したカードで、学習の補助に用いる教材です。知的障害のある子どもたちは文字や数字だけの情報から意味を汲み取ることが難しい場合がありますが、絵カードによって視覚的に情報を提示することで理解を助けることができます。

例えば、数字「3」を単に見せるよりも、リンゴ3個の絵カードを見せた方が、「3」という数の量感を直感的につかみやすくなります。これは、**具体→準具体(絵)→抽象(数字記号)**という段階を踏んで理解を深めるアプローチ(Concrete-Representational-Abstract: CRA法)にも合致しています​。CRA法では具体物➡︎絵などの準具体物➡︎数字など抽象物という段階的指導によって学習者の積極的参加と概念理解を促します(​pmc.ncbi.nlm.nih.gov)。

研究により、このCRA段階を踏んだ指導法が知的障害のある児童の算数習得において効果的であることが示されています(​pmc.ncbi.nlm.nih.gov)

絵カード教材の利点は以下のようにまとめられます。

  • 視覚的わかりやすさ:一目で内容を理解でき、注意を引きつけやすい。言語理解が困難な子でも直感的に意味をつかめます。
  • 具体性と抽象の橋渡し:具体物を用意できない場合でも絵で代用でき、抽象概念(数字や数量)と具体的イメージを結びつける架け橋となります。
  • 反復練習への耐性:カードという扱いやすい形であるため、ゲーム的な活動にも応用しやすく、繰り返し練習しても子どもが飽きにくい工夫が可能です。
  • コミュニケーション支援:指示や質問の意味を絵で補足したり、子どもが答えを選択するときに絵カードを使ったりすることで、双方向のやりとりを助けます。特に言語表出が難しい子どもにとって、自分の考えをカードで示せることは参加の機会拡大につながります。

以上の特徴から、絵カード教材は算数・数学の学習場面において有効な支援ツールとなり得ます。それでは具体的に、どのような用途でどのように活用できるのか、項目別に見ていきます。

絵カード教材の多様な活用法

特別支援教育の現場では、算数・数学のさまざまな内容領域において絵カードが活用されています。ここでは用途別に具体的な活用例とその効果を紹介します。

1. 数の認識と基数の理解

〈用途〉 数量概念の導入や数の認識に、絵カードは大きな助けとなります。
〈方法〉 例えば、1〜10の数字カードと、それぞれの数に対応する物の絵カード(リンゴ1個、リンゴ2個…など)を用意します。子どもは同じ数同士のカードをマッチングさせたり、数字カードに対応する枚数の絵カードを並べたりします。複数の絵カードを見せて「いくつあるかな?」と問い、数えた結果に対応する数字カードを選ばせる活動も有効です。
〈具体例〉 例えば、児童が果物の絵カードを数えて数字カードと合わせる課題を毎朝の活動に取り入れます。リンゴやバナナの絵カードをカゴに入れ、「◯個あります」と数字カードで答える形式です。児童は繰り返すうちに数詞と数量の一致(基数性)を徐々に理解し、数を数えるスピードが向上することが見込まれます。
〈効果〉 このような絵カードの活用により、抽象的な数字と具体的な量のイメージが結びつき、数概念の定着が促進されます。視覚的に数量を確認できるため、数量比較(「どちらが多い?」等)にも発展させやすく、大小関係の理解にも役立ちます。また、手でカードを動かす操作活動を伴うため、主体的に学習に参加しやすくなります。

2. 加減計算の学習支援と文章題理解

〈用途〉 加算・減算など基本的な計算概念の理解や、文章題(ストーリー問題)の場面把握に絵カードを用います。
〈方法〉 足し算では、「具体的な場面の絵カード」を使って合わせる操作を視覚化します。例えば「りんごが2個あります。あと3個もらいました。全部で何個?」という問題の場合、りんご2個の絵カードと3個の絵カードを子どもの前で合わせ、「全部で何個になったかな?」と尋ねます。引き算では、5個のリンゴの絵から2個のリンゴの絵カードを取り除く動作を見せて、「残りはいくつ?」と視覚的に示します。
文章題の場合、問題文の情景に対応するカード(人物や物のイラスト)を順に並べて場面を再現し、数量の変化を視覚的に追わせます​。実際、特別支援学校の教師は文章題をわかりやすくする「文章題の絵図」を工夫し​、絵カードやイラストを使って問題文の意味をかみ砕いて提示します。
〈具体例〉 「ケーキが3つありました。1つ食べました。残りはいくつ?」という課題で、皿に乗ったケーキの写真カードを3枚貼り、子どもが1枚はがす活動を行いました。視覚と実際の操作を組み合わせることで、子どもは引き算=減る操作
であることを実感し、「残り2つ」という答えを導き出せました。
〈効果〉 絵カードを用いた計算支援により、数字の羅列だけでは理解しにくい加減の意味を直観的に理解できます。文章題でも状況を絵で見せることで、問題文の読解ハードルを下げ、日常場面に結びつけて考える力を養います​。計算の結果だけでなくプロセスを視覚化できるため、「なぜそうなるのか」を納得しながら学べる利点があります。

3. 図形認識と空間把握の学習

〈用途〉 円や三角形などの基本図形の認識や、大きさ・形の比較といった空間概念の理解に絵カードを活用します。
〈方法〉 色や形の異なる図形カードを提示し、同じ形同士を分類させたり、指定した形を選ばせたりします。例えば、○△□などの形が描かれたカードをたくさん用意し、丸を全部集める、三角はどれか指さす、といった課題を出します。また、日常物品の写真カード(時計=円形、看板=四角形など)を使い、「○○の形はどれに似ている?」と実物と図形の対応関係に気付かせる指導も効果的です。大きさ比べでは、同じ絵のカードを大小2種類用意し、「大きいリンゴはどっち?」などと比較させます。
〈具体例〉 身の回りの形探しゲームを行います。丸・三角・四角のカードを子どもに配り、教室内からその形と同じもの(丸い時計、三角の旗、四角い本など)を探してカードと一緒に持ってくる活動です。子どもたちは遊び感覚で熱中し、形の特徴を楽しみながら覚えることができます。
〈効果〉 絵カードで図形を提示することで、抽象的な図形も視覚的に捉えやすくなり、形の概念習得を支援します。実物写真と組み合わせることで、学んだ図形概念を生活場面に結びつけ、「窓は四角、タイヤは丸」といった風に周囲のものを幾何学的に捉える力も養われます。大小や長短などの比較概念も、絵カードを並べて視覚的に判断できるため、言葉だけの説明より理解が確実です。形の分類・比較といった基礎的な認知スキルは、算数の土台であるとともに日常生活でも物の整理や認識に関わる重要な力です。

4. 時間・順序概念の理解

〈用途〉 時刻の読み取りや、出来事の順序理解など時間概念の指導にも絵カードが役立ちます。
〈方法〉 一日の流れを示すイラストカード(「朝」「昼」「夜」や、起床・登校・給食・下校などの場面カード)を用意し、時系列に並べる活動で順序の概念を教えます。例えば、「①起きる → ②学校へ行く → ③勉強する → ④家に帰る」のように番号付きでカードを並べさせ、順序を言葉と対応付けます。また、時計の描かれたカード(○時を指すアナログ時計の絵)と、その時間帯の活動を示す絵カードをマッチングさせることで、「長針が12、短針が8の時計=8時=登校の時間」といった対応関係を学ばせます。
〈具体例〉 ある児童が時間の概念を掴むために、教師は視覚的なスケジュールカードを活用します。時計の絵カードで「今何時」を示し、横に「国語」「算数」「休み時間」など授業や活動の絵カードを貼ります。児童は時計カードの変化とともに活動カードが移り変わるのを見るうちに、時間の流れと日課の関連性を理解し始めます。最初は時計が読めなかった子も、「おやつのカードが出てきたから3時だね」のように生活の出来事と時間を結びつけて考えられるようになります。
〈効果〉 抽象的な時間の流れを、絵カードによって視覚的なタイムラインに変換することで、順序立てて理解しやすくなります。特に知的障害のある子どもは時間や予定の概念が捉えにくい傾向がありますが、カードを使ったスケジュールは見通しを持たせ安心感を与える効果もあります。こうした時間概念の理解は、時間割を自分で確認したり行動を準備したりといった自立活動にもつながります。

5. 貨幣の計算と買い物学習

〈用途〉 算数の中でもお金の計算や買い物学習は生活自立に直結する重要単元であり、絵カードの活用により具体的な練習環境を整えることができます。
〈方法〉 硬貨や紙幣の絵が描かれたカード、または実物大の模型硬貨を用意し、金額の認識や支払いの練習に使います。まず、それぞれの硬貨カードを見せ「これは何円?」と問い、金種の識別を確実にします。次に、商品カード(例えばリンゴ100円、ジュース120円など値段付き絵カード)を用いて買い物ごっこを行います。子どもは商品カードを選び、対応する金額を硬貨カードで支払います。最初はちょうどの金額で支払う練習をし、慣れてきたら複数の硬貨カードを組み合わせて支払う、あるいはお釣りの計算に発展させます。
〈具体例〉 模擬買い物学習を絵カードで実施します。机上にミニ店を設け、リンゴ(50円)・ノート(80円)・消しゴム(30円)などの商品カードを並べます。生徒は欲しい物のカードを取り、価格の合計を計算します。例えばリンゴとノートを選んだ場合、「50円+80円=130円」と教師と一緒に絵カードを使って計算し、硬貨カードの100円玉1枚と10円玉3枚を支払いました。生徒は遊び感覚で計算練習ができ、お釣りが必要な場面では「お金が足りないからあと20円必要」などと不足分にも気づけるようになります。
〈効果〉 お金の学習では現実さながらのやりとりを再現できる絵カードが有効です。視覚的に金額を構成できるため、数字だけの計算より理解しやすく、金銭感覚の醸成につながります。実際の買い物場面をシミュレーションすることで、社会生活に必要なスキルを安全な教室環境で身につけられます。金種の識別や組み合わせを何度も練習できるため、将来的な自立にも寄与します。

6. コミュニケーション手段・ゲームとしての活用

〈用途〉 絵カードは学習のための教材であると同時に、子どもの意思疎通や学習意欲の向上にも活用できます。
〈方法〉 言語で答えることが難しい子どもには、絵カードを選択肢として提示し、指差しやカードを手渡す形で回答させます。例えば、「どちらが大きい?」という質問に対し、大きいものと小さいものの絵カードをそれぞれ示し、子どもが正しい方のカードを選べば理解を評価できます。また、カードを使ったゲーム(神経衰弱=絵合わせ、ビンゴ、カルタ取りなど)を行い、楽しみながら算数の要素に触れる機会を作ります。数字ビンゴや、計算式と答えのカードをマッチさせる神経衰弱などは定番のゲーム学習です。
〈具体例〉 数合わせの神経衰弱ゲームを取り入れます。1から10の数字カードと、それぞれの数の絵カードを用意し、裏返してペアを当てるゲームです。子どもたちはゲームに熱中する中で、いつの間にか数字と量の対応を覚えます。また、発語が難しい児童も、カードをめくって一致を喜ぶことで非言語的に参加でき、成功体験を積むことができます。
〈効果〉 このように遊びの要素を取り入れると、反復学習による飽きが軽減され、子どもたちの積極性が増します。絵カードは視覚的なコミュニケーションツールとしても機能し、教師は子どもの反応をカード選択という形で受け取ることができます。結果として、子どもの理解度を客観的に把握しやすくなるだけでなく、子ども自身も「できた」「当てられた」という達成感を得られる点で情緒面の発達にも良い影響があります。

用途ごとの活用法比較表

上記で挙げた用途ごとの絵カード活用法を、目的・方法・効果の観点で比較表にまとめます。児童生徒のニーズに応じて、適切な方法を選択する際の参考としてください。

用途(指導内容)活用方法・教材例主な効果・ねらい
数の認識・数量概念数字カードと物品の絵カードをマッチングさせる。数え上げ練習に絵カードを使用する。具体例: ○のカード3枚を見せて「3」を認識。抽象的な数字と具体的な量を関連付け、基数の概念を理解させる。視覚的な数量把握により多少の比較も容易になる。
加減計算(文章題含む)加減の場面を描いたカードで計算を視覚化する。文章題の情景を絵カードで再現する​。例: 2個と3個の絵を合わせて「2+3」の意味を理解。計算の意味や過程を直観的に理解できる。文章題の状況理解を助け、日常場面に結びつけて考える力を育む​。
図形・比較の認識図形カードを分類・選択させる。実物写真カードと組み合わせて形を学習。大小など比較するカードを提示。図形の特徴を視覚的に捉え、形の概念を定着させる。大小・長短など比較概念も理解しやすくなり、認知スキルを向上させる。
時間・順序の概念スケジュールカードで一日の流れを順序立てて提示。時計の絵カードと活動カードを対応付け。時間の流れを視覚化し、順序立てて理解させる。見通しが持て不安の軽減につながる。時間と日常行動の関連付けを促進。
貨幣計算・買い物学習硬貨・紙幣カードで金額認識。商品カードを使った模擬買い物で支払い練習。金額計算を具体的に練習でき、金銭感覚を養う。社会生活スキルを安全な環境で習得し、自立に寄与する。
コミュニケーション・ゲーム絵カードを選択肢にして回答させる。絵合わせやビンゴ等ゲームに活用。非言語でも参加可能となり意思表示を支援。楽しみながら反復練習でき、学習意欲を高める。達成感により自己肯定感も育まれる。

海外の理論と実践:Les Staves氏の示唆

国際的にも、重度の学習障害がある子どもたちへの数学教育では、絵カードのような視覚的・具体的アプローチが重視されています。その代表的な理論と実践の一つが、イギリスの教育者であるLes Staves氏による「Very Special Maths」です。Staves氏は、重度・重複障害の児童生徒にも数学的スキルを身につけることは可能であり、適切な指導法さえあれば日常生活に必要な数学的技能は必ず育成できると強調しています​。実際、彼の著書の中で「すべての子どもにできるだけ充実した生活を送るための数学的理解が必要である」と述べられており、困難のある子どもにも実生活で必要な数学的思考を育むカリキュラムの重要性が説かれています​。

Staves氏の提唱する指導では、子どもの発達段階に応じて数量認識や数の概念、順序や比較、空間・図形、時間、金銭の概念といった基本的領域をバランスよく経験させることが重視されています​。これらはまさに日本の指導要領が目指す日常生活に結びつく内容と合致し、絵カード教材による視覚的支援が有効な領域です。たとえば数量認識では実物や絵カードを使ったワン・トゥ・ワン対応(一対一対応)の活動が推奨され、これは具体物を操作し絵で確認しながら抽象的な数の概念を理解するプロセスであり、CRAアプローチとも通ずるものがあります。また、Les Staves氏は感覚的・身体的な体験を通じて数学的概念を学ぶこと(いわゆる“Sensory Mathematics”)にも触れており、音や触覚と絵カードを組み合わせることで数や形の概念を多重に刺激する実践も紹介しています。(例:数に合わせて太鼓を叩き、その数だけの星の絵カードを貼っていくアクティビティ等は、数概念と言語・視覚・聴覚を結びつける指導として有効とされています。)

海外の研究では、こうしたマルチモーダル(多様なモード)での教授法が知的障害のある学習者に有効であることが示されています​。特にConcrete(具体)からRepresentational(絵・図)を経てAbstract(記号)へと進む指導は、認知的負荷を調整しながら確実に概念定着させる手立てとして支持されています​pmc.ncbi.nlm.nih.gov。Staves氏の実践も、具体物を操作する体験を重ねた後に絵カードなどで視覚的に整理し、最後に数字や記号による表現につなげる段階的学習を提案しています。彼の理論と日本の現場実践を照らし合わせると、「具体的な体験」+「視覚的な絵カード」+「抽象的な記号」という組み合わせが有効であることがわかります。

また、Les Staves氏は指導の中で子どもたちの興味や生活場面を起点とすることを強調しています​。例えば買い物ごっこの場面で数やお金のやり取りを経験させたり、料理活動で分量を測ったりといった日常的テーマを通じて数学的思考を引き出します。これらの場面では絵カードが視覚的な補助となり、子どもたちが「今自分が何をしているか」を理解しやすくなります。国や文化が違っても、日常生活と結びついた具体的・視覚的な算数教育が重度の障害がある子どもにとって効果的である点は共通しており、日本の教師にとっても示唆に富むものです。

おわりに

特別支援教育における算数・数学の指導では、一人ひとりの子どもの発達段階や理解度に合わせた工夫が欠かせません。

絵カード教材は、その柔軟な使い方によって抽象的な学習内容をかみ砕き、子ども達に「わかった!」「できた!」という喜びをもたらす強力なツールです。国内の実践からは、絵カードを用いることで教科書の内容がより身近で具体的なものとなり、子ども達の生活と学びをつなげることができると報告されています​。

また海外の理論や研究​(pmc.ncbi.nlm.nih.gov)からも、具体⇒絵⇒抽象の段階的アプローチを含めたビジュアル支援の有効性が裏付けられています。Les Staves氏の実践が示すように、適切な戦略さえあればどの子も日常生活に必要な数学的スキルを身につけることが可能であり​、絵カード等を組み合わせた指導はそのための重要な戦略の一つです。

本記事で取り上げた活用法以外にも、児童生徒の興味関心に合わせてオリジナルの絵カードゲームを作成したり、ICT機器上のデジタル絵カードを利用したりするなど、新たな実践も考えられるでしょう。

大切なのは、子どもが主体的に楽しみながら学べるような工夫を凝らすことです。視覚的な手がかりを得ることで安心して学習に取り組めるようになった子どもは、自信を持って次のステップに進むことができます。

絵カード教材の多様な活用法を通じて、算数・数学が子どもたちにとって少しでも身近で楽しいものとなり、日常生活で生きる力へと結びついていくことを期待しています。

参考文献リスト

  1. Les Staves (2018). Very Special Maths: Developing Thinking and Maths Skills for Pupils with Severe or Complex Learning Difficulties. Routledge.​thriftbooks.comthriftbooks.comなど
  2. 国立特別支援教育総合研究所 (2019). 特別支援学校における算数・数学科授業実践に関する調査報告書(第3章 等)​nise.go.jp
  3. Kaya, S., & Yildiz, N. G. (2023). Using the concrete–representational–abstract (CRA) sequence to teach math skills to a student with ASD in a general education classroom. International Journal of Developmental Disabilities.​pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov

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