
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
以前、こちらの記事でExcelで作成した「はたらく力準備アセスメントシート」をご紹介しました。
このシートは、某就労支援施設でも活用していただき、「評価が視覚的にわかりやすい」「支援の方向性を考えるきっかけになる」といった嬉しいお声を頂戴しました。しかし、一方でこんな課題も見えてきました。
- Difyと連動させて使うのが難しい…
- エクセルなので複数人で共有・編集しにくい…
もし、この分析と所見作成を、AIがボタン一つで手伝ってくれたら…?
そんな想いから、従来のExcel版を大幅に進化させた**「AIサポート付き Googleスプレッドシート版」**がついに完成しましたので、ご紹介します!
■ Excel版から大進化!AIが客観的な分析文を自動生成
今回完成したのが、こちらのGoogleスプレッドシート版です。
評価項目やレーダーチャートは従来のExcel版を踏襲しつつ、最大の進化点は**「AIによる分析文の自動生成機能」**です。
本人と支援者の評価を入力した後、メニューから「アセスメント分析」→「Difyで分析を実行」をクリックするだけで…

わずか数秒で、AIが本人と支援者の評価ギャップを考慮した客観的な分析文を、指定したセルに自動で書き込んでくれるのです!
■ どうやって動いているの?その仕組みを簡単解説
「なんだか難しそう…」と思われるかもしれませんが、仕組みは意外とシンプルです。このシートは、3つのツールが連携して動いています。
- Googleスプレッドシート(舞台)
評価データを入力し、分析結果を表示する場所です。クラウドベースなので、複数人での共有や同時編集も簡単です。 - Google Apps Script (GAS)(司令塔)
スプレッドシートの裏側で動くプログラミング言語です。「分析実行」ボタンが押されたら、評価データを集計し、AIに「このデータで分析をお願いします!」と依頼する役割を担っています。 - Dify(AIエンジンルーム)
今話題の生成AI(LLM)を、専門知識がなくても簡単に使えるようにしてくれるプラットフォームです。GASから受け取ったデータと「こういう風に分析してね」という指示(プロンプト)を基に、AIが分析文を生成し、GASに返します。
この3つのツールが連携することで、「1クリックで分析文を自動生成する」という魔法のような体験が実現しています。
■ AIとの二人三脚でたどり着いた「最適なプロンプト」
このシートが完成するまでには、AIとの試行錯誤の連続でした。
最初は、すべての評価項目をAIに渡して分析を依頼したところ、あまりにも細かすぎる、学術論文のような分析結果が出てきてしまいました。
そこで次に、評価項目を「生活面」「就労面」「コミュニケーション面」「精神面」の4つに集約し、その平均点を基に分析させるようにプロンプト(AIへの指示文)を修正しました。すると、今度は大局的な視点での分析が可能になりました。
さらに、「総合的な所見は最後に」「各項目は見出しを【】で囲んで」といった指示を細かく追加していくことで、最終的に私たちが求める**「簡潔で、分かりやすく、支援のヒントになる」**分析文を生成してくれる、理想的なAIパートナーへと成長させることができました。
AIは単なるツールではなく、こちらの意図を汲み取り、より良い答えを返してくれる「対話の相手」なのだと改めて実感しました。
■ このシートがもたらすメリット
このAIサポート付きアセスメントシートは、現場に多くのメリットをもたらします。
- 時間の創出: 何より、所見作成にかかる時間が劇的に短縮されます。これにより、支援者は本人と向き合う時間や、より創造的な活動に時間を使うことができます。
- 客観的な視点の獲得: AIは常にデータに基づいて中立的な分析を行います。支援者の主観だけでなく、客観的な視点を加えることで、支援計画に厚みが出ます。
- 支援の質の均一化: 誰が使っても一定レベルの分析結果が得られるため、支援チーム内での情報共有がスムーズになり、支援の質を均一に保つことができます。
- 本人の自己理解の促進: 本人評価と支援者評価のギャップを数値と文章で客観的に見ることで、本人が自身の強みや課題を理解するきっかけ作りにも繋がります。
■ まとめ
AI技術の進化は目覚ましく、私たちの仕事のあり方を大きく変えようとしています。AIは私たちの仕事を奪うのではなく、むしろ、私たちがより人間らしい、本質的な業務に集中できるよう手助けしてくれる強力なパートナーです。
今回完成したこのシートが、日々の支援業務に奮闘されている皆様の負担を少しでも軽減し、より質の高い支援を実現するための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
今後も、現場のニーズに合わせて、このシートをさらに進化させていきたいと考えています。ぜひ、ご活用いただき、ご意見やご感想をお聞かせください!
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