
はじめに:「待ち時間」との戦いに終止符を
こんにちは、特別支援教育のDXを推進する「」です。
先日(2025/12/14)公開し、会員の皆様にご利用いただいていた「おげんまるNeo」は、Google Apps Script(GAS)で作成したWebアプリを窓口にし、裏側でDifyのAPIを呼び出す仕組みでした。
この方法はGoogleの無料環境で動く素晴らしい構成でしたが、一つだけ大きな弱点がありました。それは**「待ち時間」**です。
GASの仕様上、AIが文章を生成し終わるまで画面には何も表示されません。長い指導計画を作成する際、数十秒〜1分ほど画面が止まって見えることがあり、「動いているのかな?」と不安にさせてしまうことがありました。
そこで今回、システムをフルリニューアル。
Webアプリを経由せず、**Difyそのものの機能を極限まで引き出す「Dify(HTTP接続) + GAS出力」**へと生まれ変わりました!
【技術比較】GAS Webアプリ連携 vs Difyチャットフロー
今回の移行は、単なる見た目の変更ではありません。中身の「通信の流れ」を根本から変えました。
| 比較項目 | 以前のGAS Webアプリ版 | 今回の新Dify版 |
| システム構成 | GAS Webアプリ(Frontend) ⇄ Dify API | Dify(Frontend) ⇄ GAS(Backend) |
| 応答の表示 | 生成完了まで待機(一括表示) | リアルタイム表示(ストリーミング) |
| 課題関連図 | 最終出力時に初めて生成・確認 | チャット中に即時生成・確認・修正 |
| ドキュメント出力 | GASによるGoogleドキュメント生成 | GASによるGoogleドキュメント&Word生成 |
最大の違いは**「ストリーミング」**です。
新システムでは、AIが考えたそばから文字がカタカタと表示されます。実際の処理時間は同じでも、体感速度は劇的に向上し、思考のプロセスが見えるようになりました。
開発秘話:Dify「チャットフロー」での工夫
今回の爆速化を実現した鍵は、Difyの**「チャットフロー(Chatflow)」**機能です。
通常の「AIチャットボット」モードではなく、処理の流れをブロックで組む「フロー」モードを採用しました。ここでいくつかの技術的な工夫を行っています。

工夫1:会話とデータ処理の完全分業
フローの中に2つのAI(LLM)を配置しました。
- 「先生」役のAI: ユーザーと対話し、ステップごとに課題を深掘りする。(おげんまるの人格)
- 「書記」役のAI: 会話の裏側で、出力に必要なデータだけを無言でJSON形式に整理する。
この分業により、普段の会話はスムーズに、最後の出力は正確に行うことを可能にしました。
工夫2:IF/ELSE分岐によるモード切替
ユーザーが「指導計画を作成」と言うまでは通常の会話ルートを通り、作成の合図が出たらGASへの送信ルートへ分岐する回路を組みました。
これにより、複雑な指導計画作成も、普段のチャットと同じ感覚で進めることができます。
ユーザー体験はどう変わった?
1. 関連図が「その場」で見える
以前は、ドキュメントが出力されるまでどんな関連図ができるか分かりませんでした。
今回はチャットフロー内で画像生成URLを動的に作り出すことで、**「会話の中に図が表示される」**ようになりました。「矢印の向きが逆です」と伝えれば、その場ですぐに図が直ります。これは画期的です。
2. 選べる2つのダウンロード形式
出力の最終工程(GAS)も見直しました。
これまではGoogleドキュメントのURLをお渡ししていましたが、今回から**「Word形式(.docx)の直ダウンロードリンク」**も同時に生成します。
Googleドキュメント派の先生も、Word派の先生も、ワンクリックで好きな形式を入手できます。

フロー内のHTTP接続でGASへ送信しています。
Dify恐るべし!

すべてのボットを「新フロー」へ
今回確立した**「チャットフローで対話・図解し、GASで書類化する」**というモデルは、非常に強力です。
現在公開している他の指導案作成ボットについても、順次この新システムへ移行を進めていきます。
「相談して、図で確認して、Wordで受け取る」。
この新しいスタンダードを、ぜひ会員サイトで体験してください。
皆様の業務が少しでも楽になり、子供たちと向き合う時間が増えることを願っています!





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