
GIGAスクール構想で導入されたGoogle Workspace。
先生方は普段、何気なく使っているそのアカウントが**「どんな契約で、何ができて何ができないのか」**をご存知でしょうか?
「AIがすごいらしいけど、私の画面には何も出ない」
「NotebookLMを使ってみたけど、すぐにエラーが出る」
それもそのはず。日本の公立学校の多くは現在**「無料版(Education Fundamentals)」で運用されており、AI機能については、私たちは、いわば「武器を持たずに素手で戦っている状態」**なのです。
本記事では、有料版へのアップグレードがまだ不透明な現状を直視した上で、**「今ある環境で、どうすれば組織としてAIをフル活用できるか」**という現実的な解決策を提案します。
1. まず知ろう。私たちのGoogleは「素手」である
まず、先生方が置かれている状況を正しく理解しましょう。
無料版の「限界」とは?
現在、多くの学校で使われている「無料版」には、明確な制限があります。
- アプリ連携ができない:
有料版ならドキュメントやスライドの中に「AIボタン」が出現し、その場で下書き作成などができますが、無料版にはありません。 - 共有ドライブと話せない:
「共有フォルダの中身を全部読んで要約して」といった、アプリをまたぐ便利な使い方はできません。 - NotebookLMの体力不足:
資料分析AI「NotebookLM」は使えますが、無料版では読み込める資料の量や処理回数に制限(キャップ)があります。大量の校務文書を分析させようとすると、すぐに止まってしまいます。

もちろん、予算がついて有料版(Education Plus:約720円〜/人)になれば、アプリと連動した便利な使い方が可能になりベストです。しかし、全校生徒分の契約が必要になるなどハードルもあり、「いつ導入されるか分からない(不確定な)」未来をただ待っているわけにはいきません。

※無料版と有料版の機能比較(AIでできることが格段に違います)
| 機能カテゴリ | Education Fundamentals(無料) | Education Plus(有料:年額一人720円〜) |
| Gmail | メールの下書き、返信の提案、スレッドの要約 | 無料版の全機能 |
| ドキュメント | 利用不可 | 文章の生成、校正、サイドパネルでの執筆補助 |
| スライド | 利用不可 | 文章からの画像生成、スライド構成の自動作成 |
| スプレッドシート | 利用不可 | データの整理、分析、複雑な関数の自動作成 |
| Google Vids | 利用不可 | プロンプトや資料から動画教材を自動生成 |
| Classroom | 教材・ルーブリック案の作成、進捗要約 | 無料版の全機能(より高度な連携が可能) |
| AIエージェント | 基本的な自動化(Workspace Studio) | 高度な自動化エージェントの作成・共有 |
| NotebookLM | 標準的な利用 | ソース数や処理上限の引き上げ |
| データ保護 | エンタープライズ級の保護(学習に利用されない) | エンタープライズ級の保護(学習に利用されない) |
2. 発想の転換:「ボタン」は諦めて「脳」を使う
では、有料版が導入されるまで、指をくわえて待つしかないのでしょうか?
いいえ、違います。
アプリと連動する便利な使い方は一旦諦めましょう。
その代わり、「Gemini(チャット)」と「NotebookLM」という2つのツールを、組織の力で極限まで使い倒す戦略に切り替えるのです。
戦略の核:「校内研究部署」の立ち上げ
全教員がバラバラにAIと格闘するのは非効率です。
校内に**「AI活用研究部署(または担当者)」**を立ち上げ、そこがハブ(中心)となって知恵を配る仕組みを作ります。
① 「用途に応じたGEM(カスタムAI)」を作って配る
研究担当者が、担当アカウントでGeminiを使い込み、業務に特化したプロンプトやGEM(カスタムAIの定義)を作成します。
- 「指導計画をサポートするボット」
- 「箇条書きを入れるだけで通知表の所見を書くボット」
これを全職員にシェアすれば、現場の先生はそれをコピペして使うだけで、有料版に近い成果を出せます。
② NotebookLMで「共有知」を作る
無料版のNotebookLMには制限がありますが、「読み込み・分析」を担当者が行い、出来上がった「要約ノート」を閲覧専用で共有することは可能です。
担当者が苦労して作った「学習指導要領の完全解説ノート」を共有すれば、全職員がその恩恵を受けられます。
3. 「学校間格差」をなくす、つながりの力
しかし、一校だけで「研究部署」を維持するのは大変です。詳しい先生がいる学校といない学校で、業務効率に大きな「格差」が生まれてしまいます。
そこで目指すべきは、**「学校同士がつながる(連携する)」**ことです。
理想形:教育委員会や連携校による「共同開発」
一校で悩むのではなく、広域で手を取り合います。
- 教育委員会が起点となる:
教育センターなどがハブとなり、共通の「プロンプト集」や「活用マニュアル」を作成・配布する。 - 希望校同士で連携する:
近隣の学校や、志を同じくする学校同士でネットワークを作り、「うちは通知表プロンプトを作るから、そっちは学級通信のひな形を作って」と成果物をシェアする。
これにより、どの学校にいても等しくAIの恩恵を受けられるようになります。
その連携を支える「外部サポート」の活用
とはいえ、先生方は多忙です。「連携しましょう」と言っても、実務を担う手(リソース)が足りません。
そこで有効なのが、この「学校間のつながり」を技術面で支える外部パートナーへの協力依頼です。
例えば、**「学校DX化でわくわくをサポート」**のような教育現場特化型のサービスを活用します。
- 連携の「共通言語」としてのツール:
わくわくサポートが提供する「AIチャットボット」や「GASで動くWEBアプリ」を、連携校の共通ツールとして導入します。 - 研究の加速装置:
「もっとこういうツールが欲しい」という現場の声を、外部の技術力が形にします。また、独自のポータルサイトを通じた情報発信により、ノウハウ共有のハブとしての役割も担ってもらえます。
自分たちだけで全てやるのではなく、「現場の情熱」と「外部の技術」を掛け合わせることで、持続可能な連携が可能になります。
4. 結論:未来を待たずに、今動く
有料版の導入がいつになるか、それは不確定です。
しかし、「アプリ連動」を諦めて「チャット活用」に特化し、「個」ではなく「組織・連携」で戦うと決めれば、道は開けます。
- まずは現状(無料版の限界)を知る。
- 校内に「研究部署」を置き、チャット活用の深掘りをする。
- 学校間で連携し、外部サポート(わくわく等)の力も借りて、格差なく知恵をシェアする。
決して「有料版を諦める(不要とする)」わけではありません。
いつか予算がつくその日まで、今ある手札と外部の知恵、そして学校間のつながりを組み合わせて、したたかに業務を効率化していく。
それこそが、今の日本の学校に求められている「現実的なDX」なのです。

お気軽にご相談ください。
特別支援学校に限らず、小中学校、高等学校もOKです。


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