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【きっと使われない】保健室の先生の「孤独で永い作業」を変えたい — Claude Fable5で歯科検診タブレット入力アプリをつくった話【アート作品状態】

検診が終わってからが、本番だった

歯科検診の日、保健室の先生の仕事は検診が終わっても終わりません。むしろ、そこからが本番です。

机の上には、子どもたちの人数分の健康診断票。歯科医の先生が読み上げた結果を、記録係が手書きで写しとった紙の束です。斜線、丸、C、CO——急いで書かれた記号は、書いた人にしか読めないこともあります。

養護の先生は、その一枚一枚を判読しながら、パソコンのシステムに入力していきます。それも、1本、1本。右上の6番はC、左下の7番は処置済み……。人間の歯は多い子で28本。全校児童生徒分となると、クリックする回数は数万回に及びます。

しかも特別支援学校には、幼稚部から高等部までが揃っています。乳歯だけの子、乳歯と永久歯が入り混じった子、永久歯が生え揃った生徒。様式の欄も倍あって、入力もその分だけ複雑になります。

さらに入力が終わっても、まだ続きがあります。現在歯は何本か、未処置の歯は何本か——1人ずつ数えて集計欄を埋め、受診をすすめるお知らせを作る子を紙の山から探し出す。

「この作業がとても大変で」養護の先生のその一言から、今回の話は始まりました。

つくったのは「歯をタップするだけ」のアプリ

それなら、検診のその場でタブレットに直接記録できたらどうだろう。そう考えて、入力アプリをつくりました。

画面には、健康診断票とおなじ歯式が並んでいます。上顎と下顎、永久歯の8番から8番まで、そして乳歯のEからEまで。使い方はシンプルで、記号を選んで、歯をタップする。それだけです。

歯科検診入力アプリの画面。歯式が並び、記号を選んで歯をタップして入力する
記号を選んで歯をタップするだけ。集計は自動で終わっています

歯科医の先生が「右上6番、シー」と言ったら、Cボタンを押して右上の6をタップ。むし歯は赤、処置済みは青、要観察はオレンジと色が変わるので、画面を見れば口の中の様子がひと目でわかります。

工夫したのは、「所見のない歯には触らなくていい」ことです。学部を選ぶと、幼稚部なら乳歯20本、高等部なら永久歯28本が「健全」の状態で最初からセットされます。むし歯ゼロの子なら、保存ボタンを押すだけ。10秒で次の子に進めます。

そして、これまで手で数えていた集計欄——現在歯数、未処置歯数、処置歯数——は、すべて自動計算。保存した瞬間には、もう数え終わっています。

データは、保存した瞬間にスプレッドシートへ

このアプリのいちばんの「未来」は、保存ボタンを押したあとに起きます。

入力した結果は、その場でGoogleスプレッドシートに自動送信されます。複数のタブレットで手分けして入力しても、集まる先はひとつの表。検診が終わって保健室に戻ったら、全校分のデータがもう一覧になって待っている、というわけです。

一覧画面。幼稚部から高等部までの記録が並び、要受診の子が赤く表示されている
要受診の子は赤く表示。送信済みかどうかもひと目でわかります

現場を想定した、こんな工夫も

  • 電波がない体育館でもOK — データは端末に貯まり、あとでボタンひとつでまとめて送信
  • 入力ミスもこわくない — 同じ子を呼び出して保存し直せば、表の同じ行が書き換わるだけ。二重登録なし
  • 要受診の子のリストがボタンひとつ — 紙の山をめくって探していた作業が、一瞬に

正直に言うと、魔法ではありません

種明かしをすると、このアプリを入れても、規定のシステムへの入力作業そのものがなくなるわけではありません。学校のシステムには一括取り込みの機能がなく、最後は人の手で入力する流れは変わらないのです。

それでも、手元にあるのが「判読の必要な手書きの紙の束」なのか、「整列して集計まで済んだ一覧表」なのかで、その作業の景色はまるで違います。数える作業は消え、探す作業は消え、判読する作業も消える。残るのは、確かな一覧を写す作業だけです。

そして想像してみてください。いつか学校のシステムがデータの取り込みに対応した日には——検診が終わったその瞬間に、すべてが終わっている。このアプリは、その未来への助走です。

「大変なんです」から、未来は始まる

このアプリは、特別なソフトを買ったわけでも、業者さんに発注したわけでもありません。AIに相談しながら、様式のPDFを見せて、あれこれ注文をつけて、半日ほどでかたちになったものです。ひと昔前なら、予算要求から始めて何年もかかったような道具が、いまは「大変なんです」というつぶやきから半日で生まれる。そのこと自体が、いちばん未来だなあと思うのです。

学校には、こうした「昔からそういうものだから」と続いている手作業が、まだたくさん眠っています。それを一番よく知っているのは、現場の先生たちです。

「この作業、大変なんです」

その一言を、ぜひ聞かせてください。そこから、次の未来が始まります。

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